PT目線でのゴール設定と、残念ながらまかり通っている学生目線の実習用のゴール設定に関してお話をさせて頂きます。
実習におけるゴール設定は情報不足余りある
実習でゴール設定を考えます。ゴール設定に関して、学校の講義で詳しく習った記憶はございません。
聞いてなかったら、すいません。
病院に就職して、退院へ向けたゴール設定を5年間経験し、少し見えてきたゴール設定の考え方。
やっぱり、養成校はそこまで指導が行き届くべきなんじゃないかなって思います。
さて、見出しの内容です。
理学療法士の実習におけるゴール設定って、結構無茶言われるんです。
STG(短期目標)とLTG(長期目標)を考えてきてーって。
でも、学生の場合は情報が圧倒的に足りないケースが多いんです。
入院から退院までの他部門との連携を含めた流れを知ることはほぼないと言って差し支えないでしょう。
そして、ケース患者さんを退院まで見届けられるケースも少ないです。
なので、実習ではSTG・LTGは残念ながら、想像の域を出ません。
そういう意味では、ゴール設定を立てることと、そのフィードバックが出来ない現状は、正確性が求められていないと言わざるをえないでしょう。
そこで、まずは実際のゴール設定の考え方を次に見ておきましょう。
病院におけるゴール設定の考え方
まだ7年目のペーペーですが、5年間の病院勤務で得た病院におけるゴール設定の考え方を述べたいと思います。退院へ向けて
やはり、臨床をしててよく言われるのは、退院してからが大切ということですが、こと病院に関しては退院に向けて、どのような治療方針を進めていくのかが重要です。
大腿骨頸部骨折のOPE後などでプロトコールが決まっている病院では、ある程度スケジュール通りになることが多いでしょうが、高齢者などでは退院へ向けた調整が必要なケースは多々見られます。
そのために、まずはどのくらいで退院できそうか?っていうところが一つの目安です。
その退院へ向けて、STG・LTGを策定していくことになるでしょう。
そこで、理学療法士として考えるべきこととして、やっぱり機能面だけのリハビリテーションをやっていたって退院出来るかは分かりません。
ADLや生活に必要な応用動作がどの程度出来るのかをしっかり確認していかなければ、はい退院!なんて軽々しく言えないんです。
ADLや生活に必要な応用動作がどの程度出来るのかをしっかり確認していかなければ、はい退院!なんて軽々しく言えないんです。
もちろん基本動作はベースとしてとても大切ですが、歩ける・立てる・座れるだけで退院出来るわけないじゃないですか!?
そして実習では基本動作止まりで許容されることが多いです。
それ以降は、就職してから勉強してねーって。それで成り立っちゃってる現在の実習制度は、私は問題があると考えます。
実際のリハビリテーションとは乖離した実習になってしまっているんですから。
基本的にはその疾患の予後予測を教科書レベルでまずは確認しましょう。
そして、それが担当ケースに当てはまるのかどうかを考えましょう。
その要素として、挙げられる要素は重症度・年齢・合併症など。やはり疾患によって予後不良・予後良好と考えられるものが挙げられているはずです。
これは、先人の方々の研究によって、解明されつつあることなので、使わない理由はありません。
それらを確認した上で、この患者さんはどのくらいで退院できそうかなって考えなければなりません。
そして、それらの疾患的な要素の他も病院から退院へ向けて考えなければいけないことがあるんです。
サービスの必要性を検討
まず、入院した時に介護保険の有無を確認しなければなりません。それは、退院後に介護保険を使用したサービスの必要性を加味しなければならないからです。
そして、それは退院間近にすればいいものではないのです。
介護保険の申請から結果が出るまでに1ヶ月くらいかかるから!
退院て、一般的には頸部骨折とか早ければ1ヶ月くらいで退院です。
退院してからサービス調整するということがどれだけ大変か。。。
数日は本人と家族くらいしか手伝える人はいません。今まで入院中に手伝ってもらっていたお風呂の準備・食事の準備・片付け・洗濯などを全てやらなければなりません。
介護が必要なレベルの方をほいっと帰してしまうのは無責任としか言えません。
まぁ重症レベルの方は、回復期病院への転院される方も多いですが、グレーゾーンというか、この方なら大丈夫っぽいよねって方が思わぬ所で問題が発生したり、若いスタッフ同士だと退院調整が不十分だったりします。
そのため、病院では早めの予後予測と介護保険の有無の確認を行わなければなりません。
そういった所は、実習や学校の講義で教わることはまずありません。
症例検討するにしても、学生レベルをどこまで持っていくのかは教育という面では大きな課題と言えるでしょう。
ポイント!
そのため、病院でのゴール設定の考え方としては
自宅退院が可能か?
そのためにはどんなサービスが必要か?
補助具が必要か?
家族との関係性は?
そのため、病院でのゴール設定の考え方としては
自宅退院が可能か?
そのためにはどんなサービスが必要か?
補助具が必要か?
家族との関係性は?
など加味した上で、おおよそどのくらいでの退院を目指し、STGでこれくらい出来るようになり、LTGでこのくらい出来るようにならないと退院できない!くらいの危機意識を持って臨床に取り組みます。
そのため、実習でよくある独歩自立とかそういった類のゴール設定では、現状には全く太刀打ち出来ない現状にあるのです。
実習ではどう考えれば良いのか?
正直言って、上記のことも頭に入れられるようになってほしいです。基本動作レベルで終わってしまうということは、実習としての意味としてどうなのかと言わざるを得ません。
もちろん、経験というものがない学生にとって、難しいかもしれませんが。
そういったものを加味した上で、ゴール設定を考えなければなりません。
これは、なにも病院に限ったことではありません。
整形外科のクリニックに現在は勤めていますが、痛みをとればそれで終わりというのは違います。
その痛みによって、日常生活の何が出来なくなっているのか?どういう希望できたのかを考えなければ、リハビリのゴールは見えてきません。
あ、それでは本編に参ります。
病期・症状によって差はある
超急性期の場合、直接的な生死に関わるケースも多いため、早期離床や生命維持のための呼吸機能維持などの機能面に特化したケースもみられます。
このように病期や症状によっては、ゴール設定の立て方に差はあるため、どういう施設に実習にいくのかは調べてくださいね。
病前生活
病前生活を知らないでゴール決めるアホにはなってはいけません。
今までの生活知らずに、ゴールもクソもないでしょう。
HOPEは何か?
『これを聞かずに何をする』です。
なぜ、リハビリテーションを受けているのか?
病院に入院中の患者さんであれば、もちろん『退院したい』というのがあると思います。
そうですねーってなりますが、退院してからの生活を考えないといけません。
脳卒中などで、今まで通りの生活とはいかない患者さんも中にはいます。
そうすると、『少なくともここまでは自分でやりたい』といった希望をおっしゃられる方もいます。
それを医療従事者として、いつまでに実現可能か?そもそも実現可能か?などを加味した上で、コミュニケーションを図らなければならないのです。
整形外科のクリニックでは、前述しましたが、『痛みがとれたら〇〇をしたい』とかそういう希望がある方もいます。
何を目的でリハビリテーションに来ているのか?
そういった目的がない患者さんも入院の場合はもちろんいます。専門職ではないため、自分の予後が分からない患者さんはたくさんいます。その際に、
そういった目的がない患者さんも入院の場合はもちろんいます。専門職ではないため、自分の予後が分からない患者さんはたくさんいます。その際に、
『今はここまで出来ています。次の目標を共有しましょう。』
と具体的な目標設定が出来るとモチベーションにつながるケースも多いです。
機能面のゴール設定は書くべきか?
これは、あって然るべきと言っていいと思います。
どういうことかというと、ADL・応用動作を獲得しなければ退院は見えてきません。
もちろん、ADL自立困難で退院される場合は、退院先が自宅ではないケースもあります。
そのADLを獲得するに向けて、具体的な部分の筋力強化が必要なケースは多いからです。
で、どんな書き方が悪いかというと、そういった機能面しか書かないからダメなんですね。
わかったと思いますが、機能面だけ良くなっても帰れない。希望の動作が出来ないんです。
そのため、現在の実習におけるレポートの書き方として、機能面は生活動作を考慮した書き方をすべきという解釈でいいと思います。
STG・LTGの期間はどう考えたらよいか?
STG・LTGの期間に関しては、どう考えたらいいでしょう。
現在の実習期間は長くても2ヶ月でしょう。
流れとして
2週間くらいで評価して、1週間ちょっとでレポートをまとめて、2週間くらい治療して、最終評価して終わり。
初期評価時の予想から、最終評価時の変化を追うため、STG・LTGの期間はかなり短くなるんじゃないでしょうか?
実習期間を超えた未来の予想を書いても、結果が分からないのですから、それ書いてどうすんの?って考え方もあります。
あるいは、STG・LTGを実習で関わらない期間を書いて、(4週間後・8週間後など)。最終評価時の改善具合によって、変更を考えるというやり方でもいいかもしれませんね。
私は、現状では前者です。
臨床実習におけるフィードバックが成されるべきだと思うためです。
病院に勤めていて、退院後の生活が分からないということはたくさんあります。
退院後に外来に通われる方や、通所を利用される方はフォローが出来るため、退院後の生活を知ることが出来ます。そういった経験によって、成長することが出来ます。
もし、病院がグループとして、通所や訪問をしている場合は、異動によって経験を得ることで、退院後の生活を理解することができます。
まとめ
今の実習におけるゴール設定は、現実の医療介入現場度は大きく乖離している。
退院から自宅での生活を考慮したゴール設定が当たり前のように、実習として習われるべき。
現在のゴール設定の攻略方法としては、機能面だけを書くことは止めよう。
病前生活・生活動作・本人の希望を加味した上で、現在の機能面から目標設定を考えていったらよい。
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