最近、エビデンスっていうのを学生の皆さんもよく聞くようになったと思います。
エビデンスとは:
証拠・根拠、証言、形跡などを意味する英単語 "evidence" に由来する、外来の日本語。一般用語として使われることは少なく、多くは、以下に示す分野における学術用語や業界用語としてそれぞれに異なる意味合いで使われている。(出典:wikipedia)
エビデンスとは、日本語で簡潔に述べれば、「根拠」です。
根拠のある理学療法をやりましょうっていうことを謳っています。
そうあるべきですよね。
しかし、理学療法の世界におけるエビデンスはまだ発展途上レベルなのが現状であり、
恐らく、情報爆発の現在世界では、次々と新しい情報がアップデートされていきます。
そのため、医療の分野では今までは当たり前だったことが当たり前じゃなくなるなんていうのはザラです。
例えば、肺炎の方に対して早期離床が大切なんて言われているのはつい最近のことですよね。
今までの当たり前が変わる世界に入り込もうとしていることを理解していると
学生時代に習ったことが、全く異なってくることに対しての抵抗が減ると思いますよ。
さて、エビデンスですが、
皆さん、ガイドラインってご存知ですか?
実は、2011年に理学療法協会がガイドラインを作成しています。
疾患別などで作られています。
ちょっと古い情報にはなってしまいますが、どうやら2020年にアップデートされるようです。楽しみですね。
ガイドラインには推奨グレードの記載があります。
推奨グレードとは、根拠に値するレベルの高さを示しています。
推奨グレードは一般的にはA・B・C1・C2・Dに分かれます。
一番高いのがAで、一番低いのがDです。
- A:行うよう勧められる強い科学的根拠がある
- B:行うよう勧められる科学的根拠がある
- C1:科学的根拠はないが、行うよう勧められる
- C2:科学的根拠はなく、行わないよう勧められる
- D:無効性あるいは害を示す根拠があり、行わないよう勧められる
これらは、エビデンスレベルによって判別されます。
難しいことは抜きにして簡潔に述べると
文献を総ざらいして調べ上げ、
根拠に値する文献をまとめ、
その中でより根拠がありそうな治療や評価を整理することでレベルを決めます。
例えば、変形性膝関節症のガイドラインにおける
推奨グレードAでは、
温泉療法(spa therapy
・spa therapy 群は,コントロール群に比べ,6 か月後に有意な改善を認めた。しかしな がら,QOL の改善は認められなかった。
・ spa therapy 群は,全ての評価項目において有意な改善を認めた。一方で,コントロー ル群は有意な変化を認めなかった。
・ 温水プール治療群は,全ての Lequesne index,WOMAC,SF-36,VAS の評価項目で 有意な改善を認めた。対照群は,6 か月後の SF-36 のみ有意な改善が認めた。
推奨グレードC1では、
ホットパック
湿熱ホットパック群は,施行前と比較して,2 週後,4 週後で有意な WOMAC score の改善を認めた。乾熱ホットパック群は,有意な改善は認められなかった。JOA score では,歩行能力に関して,湿熱ホットパック群のみ有意な改善を認めた
温泉療法群(n=25),mud-pack 療法群(n=29),ホットパック群(n=26)を比較し た結果,介入前に比べ,温泉療法群(p < 0.001),mud-pack 群およびホットパック群 (p < 0.05)は,VAS,WOMAC において有意な改善を認めた。QOL 評価では,温泉 療法群および mud-pack 群において有意な改善を認めた(p < 0.05)。ホットパック群 は,有意な改善は認められなかった。最大歩行距離では,温泉療法群および mud-pack 群において,有意な改善が認められた 99)。
このようなデータを集めることが出来て、これらの結果から推奨グレードを決めましたということです。
自分としては意外だったのですが、温泉療法の有用性が高いという内容は注目に値するものだったと発見時は記憶しております。
ガイドラインは指標としてはとても役に立ちます。
しかし、認識しておかなければいけないことは
ガイドラインを鵜呑みにすることはしてはいけない
ということです。
前述しましたが、情報はどんどんアップデートされます。
研究もどんどんと最新のデータが出てきます。
そのため、研究に携わっていない理学療法士も情報は必ず掴んでおく必要があります。
そして、もうひとつの鵜呑みにしてはいけない理由としては、
全ての人にそのガイドラインが適応するわけではない
ということです。
これは想像はつくと思いますが、
患者さんごとに重症度も違えば、性格的な問題など個別の問題は多々あります。
そのため、やはり、いち理学療法士として行うべきことは、
ガイドラインを認識しつつも、目の前の患者さんにあった治療を展開するべき
ということです。
それを忘れずにガイドライン人間にならないようにすべきなのです。
エビデンスはまだまだ発展途上であり、完全なる治療法は確立していない分野が理学療法には数多く存在しています。
エビデンスを高めるために臨床家も切磋琢磨しながら、検証していく必要があると思います。
そのためにも臨床研究はどんな世界で働いている理学療法士でも行なって然るべきなのですが、そうはなっていないのが現状です。
今後、ビックデータによる検証が進んでいくことは間違い無いです。
それによる治療の根幹が変化していくことは間違い無いと思います。
また、最先端医療であるiPS細胞による再生医療の普及も関節症に対しての治療方法に変化をもたらすことは間違い無いと思います。
情報のアップデートとともに治療のアップデートが成されていく時代に生きています。
エビデンスの質もどんどん変わっていくと思います。
データがより取りやすい環境が完成すれば、またデータの数が変わってきます。
このブログを立ち上げて数年後の世界が楽しみで仕方ありません。
まとめです。
エビデンスとは簡潔に言うと根拠であり、
根拠を見つけるために研究は進められています。
何がより正解に近いものなのかを我々も見つけていきましょう。
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