梨状筋症候群は、学生にはあまり馴染みのない用語かもしれませんが、
腰椎椎間板ヘルニアなどの神経根症状との判別が必要な疾患の一つになります。
梨状筋って深層外旋筋の一つぐらいにしか覚えていない方が多いと思いますので、
この疾患を通して梨状筋を理解していきましょう
梨状筋症候群とは
梨状筋症候群(Piriformis sysdrome)
梨状筋の緊張やスパズムと関連した疼痛が生じるものであり、下部に位置する坐骨神経が圧迫され、神経症状を引き起こす疾患
要は、梨状筋による坐骨神経の圧迫によって引き起こされる神経症状ってことです。
股関節外旋筋
深層筋:
①梨状筋
②内・外閉鎖筋
③上・下双子筋
④大腿方形筋
そして、大殿筋!
主な外旋筋はこの7つです。
起始・停止ははとりあえず梨状筋のみにしておきましょう
梨状筋
起始: 仙骨孔間の坐骨前面、仙腸関節包と部分的に混合
停止:大転子の尖端
支配神経: L5とS1・2の前枝
停止:大転子の尖端
支配神経: L5とS1・2の前枝
梨状筋は仙骨の前方面から起こり、大坐骨孔を通過して骨盤を出て、大転子の上方に付着します。
大坐骨孔とは何でしょうね?
大坐骨孔は大坐骨切痕を仙棘靭帯と仙結節靭帯によって閉じられた孔(あな)ですよ
この梨状筋の下を坐骨神経が通ることになります。
だから梨状筋による圧迫による神経症状を梨状筋症候群とよびます。
端的に一回まとめるよ!
・大坐骨孔から梨状筋と坐骨神経が通る
・梨状筋が上、坐骨神経が下
・梨状筋が上から坐骨神経を圧迫→神経症状出現!
・梨状筋が上、坐骨神経が下
・梨状筋が上から坐骨神経を圧迫→神経症状出現!
この流れ! これが梨状筋症候群!
さて、完全に補足ととっていいですが、これは覚えておくといいかもしれません。
梨状筋は股関節屈曲位になると外旋作用から内旋作用に切り替わります(引用1)
これは治療において、非常に重要な知識となるからです。
なぜそうなるか?
下のイラストをご覧ください。
オレンジの線が簡易的な梨状筋です。
この梨状筋は大転子に付着していますね。
股関節中間位では、大転子の後方を通ります。
股関節屈曲位では、大転子の前方を通ります。
股関節の内外旋っていうのは、
言い換えると大腿骨を起点とした骨盤の回旋です。
ちょっと何言ってるかわからないですね!
実際に外旋を股関節伸展位でやって見てください。
外旋の筋肉はお尻の後方に着いてますから、そこが求心性収縮をしますね。
その時は、梨状筋は大転子の後方を通っています。
次に内旋を股関節屈曲位でやって見ましょう。
なんだか、さっき収縮したお尻も収縮しましたね。
この現象は、今まで股関節外旋の作用をしていた梨状筋が、
大転子の前方を通るようになった結果、梨状筋の役割が変化したために生じた現象です。
治療
さ、ここまで来たら治療です。対処療法として言えば、梨状筋の緊張を減らせば圧迫を減らすことが出来るため、
症状の軽減が図れます。
だから、単純にまとめてしまいましょう。
①梨状筋の圧迫を除外する
座ることによる梨状筋を主とした坐骨への圧迫が、症状をもたらします。長時間の座位を避けるようにしましょう。
②ストレッチしよう
さきほど見ましたが、股関節屈曲位では股関節内旋作用に切り替わります。
ということは、素直に股関節屈曲位で外旋すればストレッチ完了です。
だから、単純なストレッチはあぐらです。
しかし、長時間の座位はそれはそれで圧迫するため、ほどほどにしておきましょう。
あとは、なぜ梨状筋がそんなに症状に起因してしまったかを検証していくことが必要になりますね。
外旋筋がなぜそんなに過負荷になってしまったのかなども考えていけるようにしないといけません。
その辺は、バイオメカ二クス主体の考え方を高めていきましょう。
今後のブログに期待しています。
機能から考えれば、治療方法は簡潔です。
でも、復習しないで単純に股関節外旋筋だから、内旋させればOKっていうのは
ちょっと待って!ってなりますね。
参考文献:
1)筋骨格系のキネシオロジー
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