はじめに
ローテーターカフ(rotator cuff)は、インナーマッスルとして機能しているということは、スポーツ競技者レベルの方でも、周知の事実になってきているレベルになってきました。その理解をより深められるようにしていきましょう。後面から見たイラスト |
前面から見たイラスト |
筋の確認
Rotator cuff(ローテーターカフ)という動的安定性を調整する筋肉の集合体は、次の4筋で構成されます。
棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4筋がそれですね。
まずは、起始停止から
【棘上筋】
起始:棘上窩
停止:上腕骨大結節上面
支配神経:肩甲上神経(C5・C6)
起始:棘上窩
停止:上腕骨大結節上面
支配神経:肩甲上神経(C5・C6)
【棘下筋】
起始:棘下窩(斜走)・肩甲棘(横走)
停止:上腕骨大結節中面
支配神経:肩甲上神経(C5・C6)
起始:棘下窩(斜走)・肩甲棘(横走)
停止:上腕骨大結節中面
支配神経:肩甲上神経(C5・C6)
【小円筋】
起始:肩甲骨外側縁の後面
停止:上腕骨大結節下面
支配神経:腋窩神経(C5・C6)
起始:肩甲骨外側縁の後面
停止:上腕骨大結節下面
支配神経:腋窩神経(C5・C6)
【肩甲下筋】
起始:肩甲下窩
停止:上腕骨小結節
支配神経:肩甲 上・下 神経(C5・C6)
起始:肩甲下窩
停止:上腕骨小結節
支配神経:肩甲 上・下 神経(C5・C6)
じゃ、このRotator Cuffの問題が絡んでくる肩関節不安定症ってなんだろう?
あまり、学生では触れる機会の少ない症例だと思いますが、ご覧あれ。
あまり、学生では触れる機会の少ない症例だと思いますが、ご覧あれ。
肩関節不安定症
肩関節不安定症:
上腕骨頭と肩甲骨関節窩の位置関係が、不安定になり疼痛や不安感などの生じる疾患
上腕骨頭と肩甲骨関節窩の位置関係が、不安定になり疼痛や不安感などの生じる疾患
肩関節不安定性のタイプを分ける、Stanmore分類というものがあります(2)。
(shoulderdocより引用) |
タイプ1:Traumatic Structual(外傷性の構造)
・外傷性
・しばしばBankart病変(関節唇などの損傷)
・異常な筋活動なし
タイプ2:Atraumatic Structual(非外傷性の構造)
・非外傷性
・関節包の機能不全
・以上な筋活動なし
タイプ3:Muscle Patteming Non-Structual(習慣的な非構造的な構成の筋)
・非外傷性
・関節の異常なし
・関節包の機能不全
・異常な筋活動パターン
2と3の間の矢印はは外傷による影響がより少ない。
1と2の間の矢印は、筋活動のパターンによる影響がより少ないということが示されています。
ということは、これらの3つの分類の中で、理学療法による改善が見込まれるものは想像出来ると思いますが、タイプ3が主ですね。もちろん、タイプ2も適応は高いと考えられています。
タイプ2は非外傷性というところからも、先天性などの原因が示唆されています。
それでは、Rotator cuffは動的安定性の獲得にどのように寄与しているのでしょうか?
肩甲上腕関節の動的安定性とRotator cuff
肩甲上腕関節、要は上腕骨と肩甲骨で構成される関節です。そして、棘上筋は上腕骨頭の転がりを促し、関節窩への圧迫力を生じさせ、固定力を高めます。
この転がりによって、三角筋による上方への動きを制限することができます。
プラスして、その他の筋(棘下筋・小円筋・肩甲下筋)が下方に引っ張る力を作り上げることで、三角筋の上方への力に拮抗的な役割を果たしてくれます。
このRotator cuffの機能のどれか一つでも破綻した場合、気がつかない内に骨頭の不安定性が増してしまい、不適切な肩関節の動きが惹起され、疼痛などに繋がっていくのです。
さて、考えなければいけないことは、我々はこのRotator cuffの機能を意識的にやっている訳ではないということです。
ということは、神経的(固有感覚)へのアプローチも重要になってきます。
ローテーターカフに関しては語るべきことがありすぎるため、ここで表現することはこれくらいにしておきます。 治療に関しては、また後日。
まとめ
・Rotator cuffは4筋(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)
・肩関節不安定症はStanmore分類によって分類され、タイプ2とタイプ3は理学療法の適応性は高い
・このRotator cuffは、三角筋によって生じる上方への力に対応することで、上腕骨頭と関節窩の適切な位置関係をもたらす(1例です)
・このRotator cuffを意識的には動かすことはしていない
参考文献
(1)筋骨格系のキネシオロジー―
(2)https://www.shoulderdoc.co.uk/article/647(英語ですが、読める方はどうぞ)
(3)Rehabilitation for Shoulder Instability-Current Approaches
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